暗雲の向こう側

このブログのタイトルは「脱臼マンが絵を置いていく場所」である。
よってFF14ではない作品の絵を置いていっても何も問題はない。

仮面ライダークウガの図

突然だが脱臼マンは映画が好きである。
理由としては概ね120分程度の枠に起承転結が入り、完結するからである。
よって、ドラマやアニメなどは非常に長く感じられ、観るのはあまり得意ではない。(映画に関しても一本で完結しない三部作などはあまり好きではない)
好きなドラマやアニメもあるが数は少ないだろう。

そんな脱臼マンにとっての鬼門中の鬼門は所謂特撮シリーズである。
一話一話は短いが、如何せん一年かけて放送するボリュームである。あまりにも長い。そして批判する意図はないが特撮のバトル描写(キュピーン!変形!みたいな雰囲気)に対する関心が低い。ネットミーム的なものをすごく遠くから楽しむ程度の距離感がちょうど良いと思っているし、それは今後も変わらないだろう。注釈を入れておくと、「ヒーロー」という概念はむしろ心から大好きである

しかし、斯々然々で「仮面ライダークウガ」を観る事にした。理由はざっくり言うと上記を踏まえてオススメされたからである。
クウガ完走後、龍騎も観てみたがこっちは挫折した……逆にクウガすげえ。disりではなく本当に特撮の表現方法(長期ドラマ&演出)に馴染めないタイプの人間なんだ…。この森を荒らすつもりはない…。

クウガ鉛筆版

個人的にクウガの良かったところは、五代君(主人公)の心理描写に尽きると思う。
五代君はすごく穏和ないい人で、あまり辛いとか悲しいとか、怒りなどを表現しないし、ましてや他者にぶつけたりもしない。いつもにこにこと朗らかで、相対する人に負荷を与えない。一言で表現するならば「すごく大人」な人物だと思う。
そんな彼が物語の中で一人密かに、感情を滲ませる瞬間がある(あくまでも分かりやすく爆発させる事はほぼないのがmiso)。そんな時に、視聴者は「五代君は本当はこういう風に感じているんだ…!」と、五代君の痛みを想像し、同じように傷つくのである。
表現がダイレクトではないからこそ、五代君の気持ちを視聴者が慮る=想像力を働かせる事が出来るのだ。
リアルのお子さんはどう受け止めたんだろう?五代君の気持ちを理解する事が出来たなら、それはきっと優しく賢い子なんだろうと思う。大人ァ?慮れて当たり前だ。

慮れて当たり前だとは言ったものの、仮面ライダーという材料で、特撮が苦手な自分のようなタイプの視聴に余裕で堪えられるこの作品……。クウガ……すごすぎるグゴグギス!クウガ!

五代君の少し切羽詰まった「変身ッ!」の掛け声や、身体の前に掲げた腕(身を守っているようにも見えるし、敵に「来ないで」と言っているようにも見えるポーズ)も、振り返ってみると「やだよー!戦いたくないよー!でもやらなきゃ……」という彼の葛藤が非常に表れており、観終わった後は、脱臼マンはもうだめだ……となった。

この絵は五代君に限らず、傷つけ合わねばならない状況=暗雲の向こうに、静かで清らかな青空=安寧がもたらされますように…という念を込めて描いたもの。ヒーローは……必要なんだ……
小説版のネタバレは受けていますが、脱臼マンの中ではテレビシリーズが全てなのでこれでいい。

グロンギ族から見たらクウガは無慈悲な戦士かなと思い、無機質な感じ……というのを意識して描いたけど、今見るとむしろもっと怖そうに描いた方が良かったかな。一応、仮面だけ半分で見ると結構無慈悲そうには描けている…と思って気に入っている。
あと仮面ライダー初めて描いたけど、想像の1.5倍くらい目が大きい事がわかった。そしてクウガはわりと描き手に優しいデザインだったな。最近のライダー派手だもんね。なんかピンクだったりするよね。

ということで平素入り込まないジャンルに入って、とてもエンジョイしたというお話でした。ガシガドグ!!クウガ!!