雲の書

【ミコッテちゃんの図】

脱臼マンの好きな漫画家の一人に藤田和日郎先生がおられます。
藤田先生著書「読者ハ読ムナ」には「その作品を読み終わった後、読者にどんな風に感じて欲しいのかを考えなさい」という旨が書いてあります。いわゆる「読後感」ですね。
藤田先生は漫画家だから漫画の話でしょ?と思うなかれ。普段の振る舞いやお仕事にも十分に活かせるビジネス書スタイルになっています。
無論、私のような末端の絵描きにだって。

この絵のミコッテちゃんは漆黒のとある場面をイメージして描きました。
目に涙を滲ませても決して溢す事なく、いつもの頼もしい笑顔を相手へ向けています。
明るい印象の方だったので、きっと「明るい」のではなく「明るくいようとする」強い方なんだろうと思い、そういう絵になりました。
強くて優しい、最高のヒカセンちゃんだと誇らしく思って貰えたら嬉しいです。

カラーが下手くそなもんで、ちょっと画面が暗くなってしまった事は私のミス……。

【絶対負けないよ、なヒカセンちゃんの図】

話はちょっと変わりまして、リアルゼアの話になるんですがね。
脱臼マンの祖父は書道をやっていて、まあまあの腕前だったそうなんですよ。
もう亡くなっているんですがね、一枚、祖父の書いた書が残っていて(本当は他にもあるのかも知れないけど)、天井に貼ってあるんです。

【雲の書】

画面左側から吹いてくる風にあおられ、雲が流れていく様子、ですよね多分。
「まあ、気楽に流れようぜ」、という書なのかも知れません。あるいは、風に抗う雲なのかも。

絵の構図というのは、向かって左側を向いている絵は「未来に向かっていく様子」、逆に右側を向いている絵は「過去に向かっていく様子」を表現すると言われています。
この絵はまあパッと見は後者。ただ、漢字ってのはそもそも右向きなので……
「あ~れ~!流されるゥ!」(トムジェリみたいに足をぐるぐるさせながら)みたいなファニーな書なのかも知れません。

どちらにせよ、書を見終わった後、少しすっきりするような、爽やかな書だと思いませんか?
祖父の思い描いた「読後感」がどんなものかもう知る由もありませんが、作品を見る事が出来て良かったなあと思います。
合掌。

【読後感?知らねえよ…!手塚治虫風に描いた脱臼マン!】

以上です。おわり